Vom Weltkrieg zum Bürgerkrieg

ドイツ現代史や西洋史を学んだり教えたりしている今井宏昌のブログ。

デジタル史料・文献収集用サイト(ドイツ近現代史関係)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大への対策として、2020年4月14日(火)現在、大学図書館はもちろん、研究室の利用すらままならない状況が続いています。そこで主にはドイツ近現代史を専攻とする方々を想定し、私が普段利用しているデジタル史料・文献収集用サイトのアドレス一覧をまとめてみました。

 「外国史研究者」としても、当分のあいだ現地の文書館・図書館を訪問でき(そうに)ないことは相当の痛手なわけですが、これを機に、在宅しながらでも構築可能な研究基盤を探っていきたいと思う次第です。

最終更新:2022年10月29日(土)

 

デジタル・コレクション 

Deutsche Digitale Bibliothek - Kultur und Wissen online

 ドイツ・デジタル図書館(DDB

Digi20

 バイエルン州立(国立)図書館(BSB)によるドイツ研究振興協会特別収集領域(DFG-Sondersammelgebiete)のデジタル・コレクション

Europeana

 ヨーロッパ連合EU)により構築されたデジタル・コレクション

Friedrich-Ebert-Stiftung Digital

 フリードリヒ・エーベルト財団(FES)のデジタル・コンテンツ

Münchener DigitalisierungsZentrum / Digitale Bibliothek

 ミュンヘン・デジタル化センター(MDZ)のデジタル図書館

Pressemappe 20. Jahrhundert - ZBW

 ドイツ経済学中央図書館ライプニッツ経済学情報センター(ZBW)の20世紀報道資料集

SLUB - Digitale Sammlungen - SLUB Dresden

 ザクセン州立・大学図書館(SLUB)のデジタル・コレクション

DER SPIEGEL | Online-Nachrichten

 週刊誌『シュピーゲル』のオンライン版 ※創刊年である1947年からの過去記事の検索が可能

ZEFYS :: Historische Zeitungen - Zeitungsinformationssystem

 ベルリン州立(国立)図書館(SBB)のデジタル化新聞情報システム(ZEFYS)

 

書評・情報サイト

Bundeszentrale für politische Bildung

 連邦政治教育センター(bpb)

Historische Rezensionen Online | Clio-online

 歴史学書評オンライン(HRO)

H-Soz-Kult. Kommunikation und Fachinformation für die Geschichtswissenschaften

 ヒューマニティーズ―社会史と文化史(H-Soz-Kult):歴史学のためのコミュニケーションと専門情報

SEHEPUNKTE - Rezensionsjournal für die Geschichtswissenschaften

 ゼーエプンクテ:歴史学のための書評ジャーナル

Zeitschriftenfreihandmagazin Inhaltsverzeichnisse geschichtswissenschaftlicher Zeitschriften

 歴史学関係雑誌目次一覧 ※2008年12月5日で更新停止

 

 

 その他、日本語で読める先行研究・研究史整理については、以下の文献を参照。 

ドイツ史研究入門

ドイツ史研究入門

  • メディア: 単行本
 

 

ドイツ史研究入門

ドイツ史研究入門

  • 発売日: 2014/06/01
  • メディア: 単行本
 

 

西洋近現代史研究入門

西洋近現代史研究入門

  • 発売日: 2006/08/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

  

 

 

市民向け公開シンポジウム「なぜ百年前の福岡・久留米にドイツ兵俘虜がいたのか? ―日独青島戦争と俘虜収容所―」のご案内

 市民向け公開シンポジウム「なぜ百年前の福岡・久留米にドイツ兵俘虜がいたのか? ―日独青島戦争と俘虜収容所―」を下記のとおり開催いたします。

 

日時:2019年3月24日(日)13時〜17時(12時30分開場)

会場:九州大学西新プラザ大会議室(〒814-0002 福岡市早良区西新2丁目16-23)

九州大学西新プラザ │ 交通案内

事前申込:不要

入場:無料

 

 今から百年前の福岡・久留米には、当時日本最大のドイツ兵俘虜収容所が存在していました。彼らはなぜ、どのような形でこの地に捕らわれ、どのような生活を送っていたのでしょうか。

 本シンポジウムでは、これまであまり知られてこなかった福岡・久留米のドイツ兵俘虜収容所の歴史に光をあて、様々な観点からその実像に迫りたいと思います。

 どなたでもご参加いただくことが可能ですので、是非ともふるってご参加ください。

 

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登壇者

草場武司(久留米市観光ボランティアガイドの会会長)

今井宏昌(九州大学大学院人文科学研究院講師)

西 拓巳(久留米市文化財保護課職員)

上村一則(久留米大学法学部教授)

堤 諭吉(九州大谷短期大学非常勤講師)

高松基助(久留米大学法学部特任教授)

 

※ 本シンポジウムは公益財団法人稲盛財団2018年度研究助成「第一次世界大戦期久留米における俘虜収容所とドイツ兵:地域からのグローバル・ヒストリー」(代表・今井宏昌)の研究活動の一環として開催されます。

 

お問い合わせ先

〒819-0395 福岡市西区元岡744 九州大学大学院人文科学研究院・今井宏

E-mail: imai☆lit.kyushu-u.ac.jp(☆を@に置き換えてお送りください)

 

 

弱さに入り込むナチズム:映画『ナチス第三の男』感想

 2019年1月25日(金)から日本で公開されている映画『ナチス第三の男』を鑑賞しましたので、その感想をここに記します。

www.youtube.com

 ちなみに本作公式HPのコメント欄では(恐縮なことに著名人の方々のコメントとならんで)拙コメントも掲載いただいておりますが、これはもともと1,200字程度の文章でした。

hhhh-movie.asmik-ace.co.jp

 配給会社の方から感想の依頼があった際、その冒頭だけを切り取った短文と文章全体の双方を提案し、結果として前者を採用いただく形になりました。そこで後者についても、せっかくなのでブログで公開しようと思った次第です。

 本作に関しては、私の先輩であるドイツ現代史研究者・増田好純氏がパンフレットで詳細な解説をされていますし、またその見どころについても下記の記事で述べられています。

www.47news.jp

 というわけで、私の感想は屋下に屋を架すものでしかないわけですが、一つの作品との出会いの記録として、ここに残しておきたいと思います。

 

弱さに入り込むナチズム:映画『ナチス第三の男』感想

 今井宏

 ナチスは冷酷で残虐な殺人鬼だったのか、人間性の欠片もない野獣だったのか、もしそうでなかったとすれば、なぜ彼らは未曾有の殺戮行為に手を染めたのか—。そうした根源的な問いを改めて突きつける映画である。

 本作で描かれるのは、アドルフ・ヒトラー、ハインリヒ・ヒムラーに次ぐ「ナチス第三の男」ラインハルト・ハイドリヒの「出世物語」であり、また彼の暗殺をめぐる群像劇である。

 優秀な海軍将校であったハイドリヒは、性的スキャンダルから軍を除隊され、怒りと絶望の淵で悲嘆に暮れる。そうした彼を支えたのは、婚約者でありナチ党員のリナだった。彼女を介してナチ党組織に接近したハイドリヒは、その頭脳と手腕をヒムラーに認められ、親衛隊(SS)の情報機関にポストを得た。

 妻となったリナと「幸せな家庭」を築きながらも、過去を振り払うかのように血塗られた職務に没頭する「仕事人間」の姿は、観る者に危険なカタルシスを与える。ハイドリヒの精力的な活動が党全体の躍進と1933年1月30日のヒトラー内閣成立に結びつくさまは、その頂点をなす。

 ただしナチ高官として警察権力を掌握していくにつれ、ハイドリヒは次第に家庭を顧みなくなり、夫婦仲も冷え切っていく。第二次世界大戦が始まり、ベーメン・メーレン保護領(1939年のチェコスロヴァキア解体後にナチスが設置)副総督への就任が決定した際にも、妻リナには何の相談もなかった。今や「ナチス第三の男」となったハイドリヒは、かつて自分を絶望の淵から救った妻をも邪険に扱うようになる。彼の暗殺は、まさにそうした中での出来事として描かれる。

 中盤のハイドリヒ襲撃シーンを機に、物語は一転してその実行者である反ナチ抵抗グループの群像劇へと様変わりする。観る者は戸惑いを禁じ得ない。ただしこの展開(あるいは転回)は、スクリーン越しに追体験してきた「出世物語」を相対化し、「ナチス第三の男」の姿を捉え直す重要な契機を観客に提供する。ハイドリヒが最期の瞬間、霞む視界の中でヒムラーに託した文書が何であるかに思考を巡らせるとき、果たして何人の観客がこの「感動シーン」を抵抗なく受け入れることができるだろうか。

 本作では「ナチス第一の男」ヒトラーは登場しないし、さらにはナチ党の「権力掌握」や第三帝国の領土拡大などを示すシーンはほとんど省略されている。かわりにクローズアップされるのは、ハイドリヒ周辺のナチ高官や高級軍人、殺戮を担う無数の兵士たち、そしてハイドリヒ暗殺を準備・実行するレジスタンスの姿だ。

 ナチスも、それに立ち向かう側も、あくまで「等身大」の人間として描かれる。ハイドリヒは最初から「鉄の心臓を持つ男」だったわけでなく、彼を暗殺したチェコスロヴァキア亡命軍の青年たちも最初から英雄だったわけではない。本作はそうした「等身大」の人びとにこだわることで、人間の弱さに入り込むナチズムと、それに立ち向かう人びとの姿を描き出している。

 

 

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

 

 

 

ヒトラーの絞首人ハイドリヒ

ヒトラーの絞首人ハイドリヒ

 

 

 

 

拙著『暴力の経験史』書評

拙著『暴力の経験史:第一次世界大戦後ドイツの義勇軍経験 1918~1923』(法律文化社、2016年)の書評が、各学会・研究会誌に掲載されております。ご執筆いただきました先生方、誠にありがとうございました。書評中でご指摘・ご教示いただいた点につきましては、今後の研究に活かしていきたく思っております。


以下、各先生方による書評を掲載順にご紹介させていただきます。

 鍋谷郁太郎「書評 今井宏昌『暴力の経験史:第一次世界大戦後ドイツの義勇軍経験 1918~1923』」『軍事史学』52巻4号(2017年)146-150頁。

 原田昌博「書評 今井宏昌著『暴力の経験史:第一次世界大戦後ドイツの義勇軍経験 1918~1923』」『西洋史学』263号(2017年)102-104頁。

 小野寺拓也「書評 今井宏昌『暴力の経験史:第一次世界大戦後ドイツの義勇軍経験 1918~1923』」『歴史学研究』966号(2018年)57-60頁。

 熊野直樹「書評 今井宏昌『暴力の経験史:第一次世界大戦後ドイツの義勇軍経験 1918~1923』」『西洋史学論集』55号(2018年)71-74頁。

 藤原辰史「書評 今井宏昌『暴力の経験史:第一次世界大戦後ドイツの義勇軍経験 1918~1923』」『ゲシヒテ』11号(2018年)47-50頁。


各先生方のご著書はこちら。

ドイツ社会民主党と地方の論理―バイエルン社会民主党1890~1906

ドイツ社会民主党と地方の論理―バイエルン社会民主党1890~1906

拙著『暴力の経験史』訂正

拙著『暴力の経験史:第一次世界大戦後ドイツの義勇軍経験 1918~1923』(法律文化社、2016年)中に、誤記や校正上のミスを発見いたしましたので、ここに訂正のうえ、お詫び申し上げます。

最終更新:2022年12月21日(火)

10頁下から9行目 ✕ 18世紀初頭 ⇒ ◯ 19世紀初頭

10頁下から3-4行目 ✕ Kaiserh-eer ⇒ ◯ Kaiser-heer
13頁上から7行目 ✕ ユルゲン・クーロン ⇒ ◯ ハンス・ユルゲン・クーロン
13頁下から3行目 ✕ ニーゲル・H・ジョーンズ ⇒ ◯ ナイジェル・H・ジョーンズ
29頁註88 ✕ ベルリン=リヒターフェルデ文書館の最高検察庁関係文書[R 3003/14aJ 356/26] 
      ⇒ ◯ ベルリン=リヒターフェルデ連邦文書館の最高検察庁関係文書[BAB, R 3003/14aJ 356/26]
34頁上から1-2行目 ✕ SPD と独立社会民主党(USPD)、民主党(DDP)からなる臨時政府
      ⇒ ◯ SPD と独立社会民主党(USPD)からなる臨時政府
50頁下から2行目(※) ✕ シュレージエン県知事オットー・ヘルジング
      ⇒ ◯ オーバーシュレージエンの中央労働者・兵士評議会議長にして、オーバーシュレージエン担当のプロイセン州委員やシュレージエンおよびポーゼン担当の国家委員を兼任したオットー・ヘルジング
51頁下から6行目 ✕ 1813年、対ナポレオン解放戦争のさなかに ⇒ ◯ 1812年末、ナポレオン戦争のさなかに
51頁註89 ✕ Schulze, Freikorps, S. 12; ⇒ ◯ Schulze, Freikorps, S. 12–14;
98頁註71 ✕ Autorenkollektiv des Instituts für Deutsche Miliärgeschichte 
      ⇒ ◯ Autorenkollektiv des Instituts für Deutsche Militärgeschichte
105頁下から5行目 ✕ 行動を避難する ⇒ ◯ 行動を非難する
108頁註110 ✕ オルフガング ⇒ ◯ ヴォルフガング
126頁下から5行目 ✕ 国家公秩監視委員 ⇒ ◯ 国家公序監視委員
169頁上から12行目 ✕ アルプレヒト・フォン・ベックフ ⇒ ◯ アルベルト・フォン・ベックフ
171頁註39 ✕ Freiheit-skämpfer ⇒ ◯ Freiheits-kämpfer
185頁下から5行目 ✕ 国防軍指導部 ⇒ ◯ 国軍指導部
186頁下から10行目 ✕ 問題感心 ⇒ ◯ 問題関心
187頁上から7行目 ✕ 国防軍 ⇒ ◯ 国軍
194頁註12 ✕ ungewöhn- lichen ⇒ ◯ ungewöhnlichen
195頁註16 ✕ GeorgFranz-Willing ⇒ ◯ Georg Franz-Willing
200頁註37 ✕ R 8038/10 ⇒ ◯ BAB, R 8038/10
202頁註45 ✕ ゲシュタポ ⇒ ◯ ゲスターポ
203頁註48 ✕ R 8038/10 ⇒ ◯ BAB, R 8038/10
205頁註55 ✕ R 8038/10 ⇒ ◯ BAB, R 8038/10
206頁註56 ✕ R 8038/10 ⇒ ◯ BAB, R 8038/10
208頁註65 ✕ R 8038/10 ⇒ ◯ BAB, R 8038/10
209頁註67 ✕ S. 55-60, ⇒ ◯ S. 55-60.
212頁註78 ✕ またこれとシュラーゲター崇拝は ⇒ ◯ またこれと同様のシュラーゲター崇拝は
214頁註82 ✕ 機関誌 ⇒ ◯ 機関紙
216頁註86 ✕ S. 42 ⇒ ◯ S. 42.
229頁下から9行目 ✕ 「政治の野蛮化」は直接的な起点は ⇒ ◯ 「政治の野蛮化」の直接的な起点は
261頁下から15行目 ✕ Autorenkollektiv des Instituts für Deutsche Miliärgeschichte
          ⇒ ◯ Autorenkollektiv des Instituts für Deutsche Militärgeschichte
262頁上から4行目 ✕ Beck, Dorothea: Julius Leber ⇒ ◯ Beck, Dorothea: Julius Leber
265頁下から2行目 ✕ Schwarz- Rot-Gold ⇒ ◯ Schwarz-Rot-Gold
266頁上から10行目 ✕ Schwarz- Rot-Gold ⇒ ◯ Schwarz-Rot-Gold
267頁下から12行目 ✕ Best. biographische Studien ⇒ ◯ Best. Biographische Studien
270頁上から5行目 ✕ Schutz- und Trutz- Bundes ⇒ ◯ Schutz- und Trutz-Bundes
272頁上から18行目 ✕ November- revolution ⇒ ◯ Novemberrevolution
311頁右段上から5行目 ✕ Lettow-Voebek ⇒ ◯ Lettow-Vorbeck

※ オットー・ヘルジング(Otto Hörsing, 1874-1937)の役職に関する事実誤認については、オーバーシュレージエン/グルヌィシロンスク史を専門とする衣笠太朗氏からご指摘いただいた。„der Oberpräsident von Schlesien, Hörsing“ というシュルツェの誤記[Hagen Schulze, Freikorps und Republik 1918–1920, Boppard a.Rh. 1969, S. 114]を無批判に踏襲した結果であり、深くお詫び申し上げたい。
 なお、ヘルジングがオーバーシュレージエンの中央労働者・兵士評議会議長に就任したのは1919年1月6日のことであり、その後3月5日からはオーバーシュレージエン担当のプロイセン州委員[Preußischer Staatskommissar für Oberschlesien](厳密にいえばオペルン行政区[Regierungsbezirk Oppeln]担当)を、さらには6月7日からシュレージエンおよびポーゼン担当の国家委員[Reichskommissar für Schlesien und Posen]を兼任した。